“こころの内にある”ダイバーシティについて  ~男性性・女性性とエニアグラムの視点から~

今月の担当は橋本です。ダイバーシティに関して近頃思うところについて記します。

現代の企業経営においてダイバーシティが必要不可欠であることは改めて言うまでもありません。経済産業省でもダイバーシティ経営やなでしこ経営の表彰企業を選定し、推進に向けた卓越した実績を評価しておりますし、様々な取り組みが成果に結びついている企業も着実に増えてきております。

しかし反面、経営戦略に盛り込んでいる、制度や福利厚生の充実を図っている、そしてそれらの定着を図った教育を推進している・・・など、様々な手を打っていても、どこかしっくりこない、現実的にはなかなか実感が持てない、といった感触が拭えないという声も多く聞きます。

そこで、どうしても気になる考え方が、人間の内なる「男性性と女性性」および「エニアグラムによる9つのタイプ」による切り口です。今回はそのポイントとなるところを紹介させていただきます。

 

男女の役割期待意識と内なる男性性・女性性から考える

最近、女性活躍推進を主なテーマとしたダイバーシティについての話を聞く機会が複数ありましたが、そのなかで、特に日本の多くの企業においては、女性が活躍しにくい目に見えない壁として、まずは男性性・女性性に対する理解をすることが大きな鍵となるのではないかということを、改めて強く感じました。

一般的にいわゆる男らしさ、女らしさを表す言葉として、男性的な特性は、論理性、力強さ、リーダーシップ、目標達成力、決断力などがあり、女性性としては、感性力、共感性、柔らかさ、細やかさ、受容力などに優れていることがあげられます。

もちろん、このような特性は、男性・女性共に、グラデーションのように備えているものですが、男性の中には、女性らしい豊かな感性や柔らかさを強く感じさせる方がいれば、女性の中でも、リーダーシップがあり決断力に優れた“男前”の方も決して少なくありません。

企業経営に必要な要素としては、多くは男性性が求められていることから、男性性の強い女性が活躍しにくい風土がまだまだ多いということ、そして強い男性性が評価される風土の企業では、当然のごとく女性性への理解が殆ど期待できないということがあります。さらに言えば、その背景には日本社会に男女の役割期待意識(性別役割分担意識)が根強く残っていることに由来すると仮定すれば、なかなか問題は根深いのではないかと思われてなりません。

私は、企業においてダイバーシティを進めていく一つの柱として、女性活躍推進を本当の意味で浸透させていくには、男性社員(特に管理職)に対して論理的で切れのある女性講師が“女ごごろセミナー”を、女性社員に対しては共感性や受容力に優れた男性講師が“男ごころセミナー”を徹底して実施していく必要があるのではないかとさえ思っております。

 

無意識のうちに発しているエネルギーの型の違い=エニアグラムで考える

私は、ダイバーシティを推進するための様々な施策を実施していくにあたって、各組織(職場)それぞれに、本当に多様性を許容しあえる状態として、そもそも人間は多様な存在として生まれてくるということへの、本質的な理解が必要と考えております。

例えば、同じ両親から生まれ、同じように教育を受けたにも関わらず、きょうだいで全然性格が違っているという例などからも、「人間の性格や行動は、本能的(生得的)な要因によって異なってくるのではないだろうか?」という仮説に立つことが合理的と思われます。

そこで、私がいくつかの心理学的アプローチを比較検討した結果、人間の多様性を知るためには「エニアグラム」の考え方が大変役に立つことを実感いたしました。

エニアグラムとは、「性格は特定の気質から形成され、人間は生まれながらにして9つの気質タイプに分けられる」という考えに基づいております。自分の無意識な内面に焦点を当てることで、人間の態度、行動、現象における各性格タイプの根源的な怖れや囚われに気づき、各人が本来持っていた能力を活かすことに結びつけることのできる、性格分析に有効なパーソナリティ心理学に分類される理論です。

エニアグラムの考え方が性格の違いの理解に役立つ大きな理由の一つは、同じ刺激に対して人間が無意識に自分の身を守ろうとする反応の仕方(エネルギーの出し方)が9つのタイプに分かれることが、膨大な臨床データや脳内神経伝達物質の活動の分析によって裏付けられたことにあります。(人類が種の保存をしていくために、生物多様性の原則が働いているのかもしれません。)

にわかには信じがたいことかもしれませんが、人間は、そうした9つの気質タイプの一つをもって生を受け、そのうえで様々な経験を積み重ねることによって、後天的にその人なりの特性が育まれ、性格が形成されていくともいえるのです。

タイプを理解するために、直近のアメリカの大統領の例を挙げてみますと、オバマ前大統領はタイプ5(観察・分析力に富み論理的な人)で、トランプ新大統領はタイプ8(強さを求め自己主張する人)であると推測できます。これだけ極端に違う性格を見せつけられますと、後天的に培われたものだけで説明がつくとは私には思えません。ちなみにヒラリー・クリントンは、小池百合子東京都知事と同じタイプ3(成功を追い求める人)であると思われます。

エニアグラムの各タイプ別の特徴他、詳細については今後の機会に紹介させていただきますが、本当にダイバーシティが根付く組織(職場)となるためには、その構成員一人ひとりがしっかりと自己洞察を行い、自分と異なるタイプの他者に対しても、心から受容し合うことのできるような状態をつくることが必要と確信しております。

 

以上、今回紹介した2つの視点は、それぞれ深堀をすると心の中のデリケートなところまで触れてしまう可能性もありますので、実際に浸透を図ろうとした場合、なかなか一筋縄ではいかないですが、今後もこだわりを持って学習していこうと思っております。

 

【おまけ】今月の1枚

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冬の井の頭公園での撮影です。穏やかで風もない晴れた日に訪れましたが、寄り添うような2枚の落ち葉が可憐で、思わずシャッターを切りました。(2016年11月撮影)

2017年01月30日(月)